えりも 秋まつり
23日の日曜日、襟裳岬で秋まつりが行われた。
数日前の天気予報では当日は雨か曇りかの予報だったのが、朝から快晴。爽やかな心地よい風が吹く絶好のお祭り日和。なんでも、雨天中止の襟裳岬のお祭りなんだけど、十数年の間、当日になると他が天気が悪くても岬だけは晴れるのだとか。
9時過ぎに神社から神主さんが出てきて、お神輿にご神体を入れる「入魂」の儀式。そのご神体は白ネズミ。そのご神体がどんなものかは神主さん以外は誰も知らない。布に包まれていて誰も見た事がない。それを入魂すると、お神輿が重くなるらしい。
入魂が終わって、神社を出発。これから町をねり歩く。神輿の先を行くのは猿田彦。猿田彦は立候補者から選ばれるのだが、宵宮の時に神主さんがお祓いの時に持ってる白いビラビラのついた道具で立候補者の書かれた紙を順番にあてていくと、そのうちの一枚がピタッとくっつくらしく、それが猿田彦となる。神様から選ばれた役だ。
ご一行はまず岬の突端へ向かい、そこで儀式が行われる。おそらく豊漁祈願じゃないかな。
ここで不思議な出来事が起こる。その儀式が終わりかけた時に儀式に並ぶ漁師さんが何か指さしている。何かと思って見てみると沢山の数のアザラシが一斉に泳いでいってる。普段は岩場でゴロゴロしてる姿しか見たことがないので不思議な光景だ。おそらくイワシの群れを入り江に追い込んでいると思われるが、ここで神様に結びつけるのは早計だろうか。
儀式のあとは神楽が行われる。笛や太鼓の拍子にあわせて福の面をつけた役と獅子の役が踊る。暴れていた獅子達は福がそれをなだめて最後は大人しくなって動きを止める。天気や海が荒れ狂うことがないようにの願いが入っているのだろうか。
一通りの事が終わると、ご一行は移動し漁港へ。岬と同様の儀式が行われる。そして、ここからご婦人たちが神輿の周りを輪になって踊る。荒々しい男達のお祭りに華やかに色を添えてくれる。
その後、長い道を神輿を担いでいった先は海である。海へ向かって下りていくご一行。
浜に着いてからかけ声が大きくなり、神輿を担いだまま海へ突入。その姿は力強く勇ましい。まさに漁師の祭りと呼ぶにふさわしい。
海から上がってからも、この祭りは続き、神社に戻って終わる頃には夕方5時前。祭りが終わってみんなが帰っていき、神輿も片付けられようとしてる中、疲労困憊で境内で寝入ってしまった担ぎ手の若者。お疲れさまである。
・・・祭りが終わって翌日の朝、天気は穏やかな昨日とはうってかわっての悪天候。強い風がビュービュー吹き、窓に雨が打ち付けていた。港には漁船が停泊したまま。誰が見ても、これでは漁に出るのは無理だ。えりもの漁師は働き者で、祭りの翌日でも漁に出る。それを知ってるから、あえて酷い天気にして祭りあとで疲れた漁師さんに休息を与えたんだろうなあと思ってしまった。酷い天気だけど、優しい天気である。
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